全く本を読んだことがない社会人2年目が読書を始めてみるというこのブログ。
90回目はソン・ウォンピョンさんの『アーモンド』について書いていきます。
世界中で評価が高い韓国文学らしい……
読んだ感想を書いていきます!
※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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ソン・ウォンピョン著『アーモンド』を読んでみた
2020年アジアの本としてはじめて本屋大賞翻訳小説部門1位を受賞し大ベストセラーとなった小説『アーモンド』。
本国では130万部を突破、30以上の国と地域で翻訳出版されるなど、世界的に評価が高い本作は、著者であるソン・ウォンピョンさんの文壇デビュー作です。
翻訳は矢島暁子さん。
失感情症(生まれつき扁桃体が小さく、感情の起伏が小さい)の少年ユンジェが、もうひとりの「怪物」ゴニと出会い……
韓国へ旅行に行ったとき、本屋さんにたくさん積まれていたのが印象に残っていましたˊ˗
あらすじ
↓今回もあらすじをまとめました!↓
この物語は、怪物である僕がもう一人の怪物に出会う話だ。生まれつき扁桃体が小さく、怒りや恐怖、喜びや幸せを感じられない僕は、16歳の誕生日に目の前で母と祖母が襲われても黙ってその光景を見るだけだった。植物状態になった母の代わりに古本屋を切り盛りしていた僕に、ある日大学の教授が訪ねてくる。いわく、行方不明だった息子のふりをして危篤状態の妻に会ってほしいらしい。人助けをすべしという祖母の教えに従って承諾した僕だったが、本当の息子であるゴニに執拗に絡まれるようになる……。
失感情症のため母と祖母を目の前で喪っても見ているだけだったユンジェと、幼い頃誘拐され家族からの愛情に飢えて育ったために暴れることしかできないゴニ。
2人の怪物は、出会い、ぶつかりながら、お互いに対する理解を深めていく……
「本当の共感能力」とはなにか?が問われます。
【ネタバレ注意】読んでみた感想
ユンジェとゴニの、お互いに足りないものを補足しあってる友情がめちゃくちゃ良かった、、、
読んでる間からなんかすごいものを読んでるぞって感じがしたのですが、読み終わってみると「本当にすごい文学だ……(語彙力)」となりました。
解説にもありましたが失感情症であるユンジェの一人称視点で進んでいくので、ほとんど感情表現がなく、事実だけが淡々と書かれているんですよね。
それなのに、なぜかすごい豊かですごい繊細に感じる。
ユンジェから見たゴニの表情の変化とかが細かく描かれているからですかね……
蝶を殺すシーンとか特に、ユンジェは何も感じてないはずなのに痛いくらいにその場の緊迫感とか、ゴニの感情が伝わってきました。
心に痛みを負わないはずのユンジェに共感して心が痛くなるし、一人称の語りがないゴニの内面を想像してしまう。
時間を使って読むべき価値のある小説、というのはまだ私には難しくてわからないのですが、少なくとも『アーモンド』はこれに時間を使ってよかったと思う作品でした。
本当の共感とはなにか?
本書のテーマのひとつに、「共感」があります。
競走や格差が激化し、他者の不幸を遠いものとしか感じられなくなってしまった大勢の人々。
テレビや新聞で戦争や難民について情報を仕入れて「可哀想だね」って言うのに、次の瞬間笑顔で家族と話している人々。
ユンジェに「共感能力のない怪物」だと暴言を投げつける人々の多くは、こんな人達です。
でも、ユンジェは扁桃体によるものでも、安全圏から見下ろすのでもない本当の共感を持っています。
愛に飢えて暴力に走るしかないゴニを「いい子」だと言い、友達だと言い切ります。
そう、ゴニはそんな子だ。血一滴に涙を流し、人が痛がっているのを見れば自分も痛いと思う子だ。
周囲から「怪物」というレッテルを貼られたゴニを、唯一決めつけなかったユンジェ。
いくら扁桃体が大きくても、ユンジェが獲得した本当の共感が無ければ人間味の証明になんてならないんだと突き刺されました。
遠ければ遠いでできることはないと言って背を向け、近ければ近いで恐怖と不安があまりにも大きいと言って誰も立ち上がらなかった。ほとんどの人が、感じても行動せず、共感すると言いながら簡単に忘れた。
感じる、共感すると言うけれど、僕が思うに、それは本物ではなかった。僕はそんなふうに生きたくはなかった。
先天的な失感情症というレッテルの、なんと無意味なことか。
決めつける前になぜそうなったのか質問してみること、それが愛なのではないか
著者のこの言葉を、ずっと忘れずに生きていける人間になりたいです。
名作と出会う
『アーモンド』を日本で見つけ、購入することとなったのは吉祥寺にあるブックス・ルーエさんと、そこに置かれていたPOPのおかげです。
新刊でなくても、(『アーモンド』は大ベストセラーですが)そこまで売れてなくても、誰かの気持ちがこもっているPOPから選んで購入すると、ハズレがない気がします。
手書きのあたたかみってありますよね。
誰かひとりでも心から感動した物語なら、私も読んでみたいと思います。
次回もどうぞ、よろしくお願いいたします。

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