全く本を読んだことがない社会人2年目が読書を始めてみるというこのブログ。
88回目は宮地尚子さんの『傷を愛せるか 増補新版』について書いていきます。
今回は精神科医によるエッセイ集です。
書店店頭で見たPOPが素敵で手に取ってしまいました✨
読んだ感想を書いていきます!
※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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宮地尚子著『傷を愛せるか 増補新版』を読んでみた
ハーバード大学や一橋大学で医療人類学を研究しながら、臨床医として様々なトラウマと向き合ってきた宮地尚子さん。
本書『傷を愛せるか 増補新版』は、そんな宮地さんが日本で・海外で見た様々な景色や、精神科医としてのあり方を綴ったエッセイ集です。
2007~2008年頃に『週刊医学界新聞』で連載されていた、アメリカで研究員として過ごしたときの記録をはじめ、様々な媒体に掲載されていたエッセイがまとまっています。
さらに文庫版増補新版刊行にあたって書き下ろしもいくつか収録され、約15年分、宮地さんの人生の深みを味わえる本になっていました。
傷を抱えている方、周囲にいらっしゃる方、そんな方々にはぜひ手に取って欲しい本です。
問題を解決する方法なんてなくても、傷とどう向き合っていくか、その姿勢を教えてくれます。
あらすじ
↓今回は物語ではないので、簡単に内容をまとめました!↓
I 内なる海、内なる空
→傷を抱えている人の周りにいるわたしには何ができるのだろうか、と問う著者の体験談と考え。
Ⅱクロスする感性--米国滞在記+α 二〇〇七-二〇〇八
→客員研究者としてアメリカで過ごした著者が見たものや感じたもの。
Ⅲ記憶の淵から
→家族の話や震災の話など、著者自身の記憶と傷と向き合った経験。
Ⅳ傷のある風景
→天童荒太著『包帯クラブ』を題材に、傷があると認めることの大切さを語る。
著者の実体験や、世間で親しまれている物語を題材に「傷との向き合い方」について著者の考えが書かれていました。
難しい用語等は無く、精神医療の知識が全くなくても読めるので、気負わずに読めました!
読んでみた感想・読んで考えたこと
生きていれば誰もが何かしら傷を抱えているけれど、それに対して適切に向き合える人が果たしてどれだけいるんだろう、と思いました。
『傷を愛せるか 増補新版』は、見守ることしか出来なかった後悔と、今も見守るしかできないけれどただ「見る」ということの力って結構あるよね、という話からはじまります。
でも、この著者のように「見る」ことに力があるよね、という考え方ってどれだけちゃんと一般に広がっているんでしょうか。
今、まさに見ているしかできないで罪悪感や無力感を感じている人に、ちゃんと著者の言う「見る」力という考え方が広がって欲しいな、と願わずにはいられません。
こんなふうに、本書はすごく大切だけど、意外とみんなが知っているわけではない傷との向き合い方を教えてくれます。
誰かが自分のために祈ってくれることがどんなに大切なのか、「幸せになっていいよ」と声をかけてあげることがどれだけ重要なのか。
傷を抱えている人と接したとき、慌てるでも忌避するでもなく、正しい向き合い方がしたかったし、これからもしていきたいですね。
ただ本書は同時に、他者はあくまで他者であるという視点も大切だと説きます。
安楽死を願う愛する人に、愛しているからこそその願いを聞き入れた映画『海を飛ぶ夢』の登場人物ロサ。
「他者を愛する」とは、自分とはちがう存在、自分には理解できないもの、自分では受け入れられないものを持っている存在を、まさに自分には理解できないし、受け入れられないからこそ、尊重するということである。
例え相手が自分のことを好きになってくれなくても、関係性や命の繋がりを断ち切ろうとしていても、それが相手の考えから導き出された結論ならばある意味「思考停止」の状態でそれを受け入れる。
詮索しない。正しいかどうかジャッジしない。批判しない。
それが正しい愛なのかどうかは分からないし、著者自身ももちろんそんな愛だけが正しいと主張するつもりも無いんでしょうが、ひとつの愛し方として究極系なのかな、と感じました。
まずは傷がある、と認めることから
4章「傷のある風景」で引用されていた、天童荒太さんの『包帯クラブ』。
高校生たちが「包帯クラブ」を結成し、依頼人の傷付いた場所に包帯を巻きに行き、その写真を依頼人へ送るという物語です。
効き目は人によるけれど、何もならないけど、傷があると認めて貰えるだけで救われることもある。
名前がつけられたんだよ、〈傷〉だって。傷を受けたら、痛いしさ、誰でもへこむの、当たり前だよ。でも、傷だからさ、手当をしたら、いつか治っていくんじゃない
傷を傷として認められず、放置していてはいつまで経っても治らないし、
傷を傷として認めて貰えなかったらそのことによりさらに傷付きますよね。
傷付いている自分を弱いと責めないために、適切な治療に踏み出すために、まずは「傷を認める」ということが大切なんだと学べました。
そこから、いつか傷を愛せるところまで行けたら素敵ですよね。
傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷のまわりをそっとなぞること。身体全体をいたわること。ひきつれや瘢痕を抱え、包むこと。さらなる傷を負わないよう、手当をし、好奇の目からは隠し、それを恥じないこと。傷とともにその後を生きつづけること。
傷を恥じて傷と認められない人に、手を差し伸べらる人間になれるように。
傷を愛せないあなたを、わたしを、愛してみたい。
引用されていた本を辿ってみる
『傷を愛せるか 増補版』では、映画や小説が何個か引用されていました。
そのなかのひとつ、天童荒太さんの『包帯クラブ』がとても気になって気になって、、、
早速購入してしまいました♡
届くのがたのしみです!!
読んでいた本からまた別のおもしろそうな本を見付けられるというのは、読書家になれたみたいでちょっと嬉しいですね笑
次回もどうぞ、よろしくお願いいたします。

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