【49冊目】『呪いのウサギ』|まったく読書したことない新社会人の読書日記

読書記録

全く本を読んだことがない新卒が読書を始めてみるというこのブログ。

49回目はチョン・ボラ著/関谷敦子訳『呪いのウサギについて書いていきます!

韓国の短編集で、幻想的な表紙とタイトルの可愛さに惹かれて購入してしまいました♪

読んで感想を書いていきます。

※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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チョン・ボラ著『呪いのウサギ』を読んでみた

ロシア語とポーランド語の作品を韓国に紹介しながら、作家としても活躍している翻訳家兼作家のチョン・ボラさん

主に奇想小説を発表されているそうで、本作『呪いのウサギ』にも「奇想」という言葉にぴったりの不思議な短編が収録されています。

韓国文学だと知らずに手に取ったのですが、韓国の文化等をよく知らなくても問題なく楽しめました!

特に表題作「呪いのウサギ」がお気に入りです。

あらすじ

↓今回もあらすじをまとめました!↓

「呪いに使われる道具ほど、美しく作らなければならないものだよ」祖父はいつもこう言った。呪いの道具を作ることを家業としている我が家には、「自分のための呪いの道具を作ってはいけない」というのと、「作った呪いの道具を自分のために使ってはいけない」という2つの掟がある。しかし、祖父はこの掟を破り、1度だけ個人的な目的で呪いの道具を作ったことがあるという。それが、傍らにあるウサギの形をしたランプだ。何度目かも分からない、そのランプに纏わる話を語る祖父に、私もお決まりの返事を返す……。

祖父が何を目的として呪いの道具であるウサギのランプをつくり、そしてどんな呪いが実行されたのか、というお話です。

ダークファンタジーのような雰囲気で、少し恐ろしいものの、幻想的な印象の方が強く感じました。

そして、最後には予想外の展開も待っており……。

表紙と中身の雰囲気がマッチしているので、表紙が好きな人は収録されているストーリーも好きだと思います◎

【ネタバレ注意】読んでみた感想

不条理×幻想的な雰囲気が美しい作品集でした!

親友のためにウサギのランプに呪いを込め、親友を陥れた人々の精神や身体をどんどん齧らせた祖父の話(「呪いのウサギ」)もそうですし、他の作品も怖いし少しグロいのに、美しさが感じられます。

収録されているのは全10作品ですが、私が特に好きだったのは「呪いのウサギ」の他、「頭」「楽しい我が家」「風と砂の支配者」です。

それぞれ感想を書いていきます!

「呪いのウサギ」

精巧なつくりのウサギのランプが呪いを撒き散らしていく様子が幻想的でした。

特に、呪いの対象となった人物のまだ幼い孫が、ウサギに知能を齧られていく描写が恐ろしい……

知能を齧っていくって、直接的に命を狙うよりすごく呪いっぽいですよね。

また、作品全体を貫く「人を呪わば穴二つ」精神も良かったです。

人を呪ってしまった祖父が落ちてしまった穴とはなんだったのか……

すごく切ない最後でした。

「頭」

なんとなく、1番「韓国っぽい」と感じた作品です。

主人公はある日、トイレの中に自分を「お母さん」と呼ぶ出来損ないの頭のようなものに遭遇し、育つためにどんどん排泄物や汚物を捨ててくれと要求されます。

当然気持ち悪くなってトイレに行けなくなってしまう主人公ですが、周りは「卵を産む訳でもないのだから放っておけ」というだけで……

「韓国っぽい」と感じた原因はトイレの形状の他、この周りの人々の無関心さというか、繁殖しないなら害のないものと見なす感じが韓国ドラマっぽかったのかもしれません。

しかし、どんな人間でもトイレに行かない訳にはいかず……

避けられない現象によって普通の幸せが壊されていく理不尽さが、幻想的な雰囲気と相まって良かったです。

「楽しい我が家」

途中まで、不倫も借金も重ねる夫に自分の努力の結晶である資産を食い潰される理不尽な話だと思っていたら……

とんでもない最後です。

勧善懲悪的というか、主人公にとってはハッピーな結末を迎えるので、読者としてはあまり恐怖がないのが救いでしょうか。

7年間必死に貯めてきたお金で購入した4階建てビルに引っ越してきた家族の物語なのですが、かなり解釈が別れそうな作品です。

作者は「あとがき」で収録されている作品は全て、虐げられ理不尽な目に合う弱者が、それでも社会と関わらなければならない物語を書いた、と語っていますが、結局この主人公は社会と関わっていくんでしょうか……?

地下室には何があったんだろう?とか、主人公に難癖を付けた人物を成敗した存在はなんだったんだろうか?等、謎は尽きません

「風と砂の支配者」

この短編集の中では、唯一と言っていいほど真っ直ぐというか、世の中の倫理観に沿った綺麗な物語でした。

黄金の歯車で出来た船の主に戦争で勝利した際、呪いをかけられてしまった砂漠の王。

その呪い通り、目が見えない状態で生まれてしまった砂漠の王子に嫁ぐこととなった草原の姫は、呪いを解くため、黄金の船の主に会いに行く……。

「世の中の倫理観に沿った」というのは、誰かのために努力できる人が報われ、欲に目をくらませて他者を害する人間が天罰を受けるというストーリーだったためです。

不条理な作品が多い中、この作品だけはおとぎ話のようでした。

草原の姫が個人的に好きなので、お気に入りです。

幻想的な小説の表紙はかわいいものが多い!

この作品を読んでいて、思い出したのがトマス・リゴッティの『悪夢工場』でした。

あれも表紙が非常に綺麗で手に取った作品です。

幻想・奇想小説の作品集は、表紙が私好みのものが多いのかもしれません笑

また似た作品を表紙買いしてしまいそうな予感……。

装丁フェチの沼にズブズブですね笑笑

次回もどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

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