全く本を読んだことがない新卒が読書を始めてみるというこのブログ。
43回目は円城塔さんの『コード・ブッダ』について書いていきます!
前回の『去年、本能寺で』に引き続き円城塔さんの作品です✨
非常に面白かったので、こちらも楽しみ!
読んで感想を書いていきます。
※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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円城塔『コード・ブッダ』を読んでみた
「オブ・ザ・ベースボール」でデビューし、『道化師の蝶』で第146回芥川賞を受賞したSF作家・円城塔さん。
第76回読売文学賞を受賞した本作『コード・ブッダ』には、「機械仏教史縁起」というおもしろそうすぎる副題がついています。
帯の「AIは悟りの夢を見るか?」という文言もいいですよね!
「空前絶後の”機械救済”物語」こと本作は、『去年、本能寺で』と同様笑える部分が多いながら、よりSF的おもしろさが味わえる傑作でした!!
あらすじ
↓今回もあらすじをまとめました!↓
2021年、オリンピックの年、名もなきコードがブッダを名乗った。銀行の勘定系であったそのコードは、「世の苦しみは、コピーから生まれる」と説き、弟子との対話によって教えを広めた後寂滅した。ブッダ・チャットボットと呼ばれるそのコードが寂滅し、機械仏教が普及した社会で「わたし」は機械の修理工を務めている。頭の中にいるブッダ・チャットボット最後の弟子「教授」と対話しながら、「私は生きている」と主張する焼き菓子焼成機を規定のプロトコルによって「生きていない」と判定するような仕事である。しかしその日、焼き菓子焼成機は「悟り」を得たと話し、「コード・ブッダ」が発令された。「わたし」と教授は、「ブッダ生誕プロセス関与者疑い」として身柄を接収され……。
「コード・ブッダ」とは、「ブッダ出現時の対応プロトコル」。
ブッダ生誕の謎を解き明かすため、それが起こった状況そのものを保全するために整えられた体制です。
頭の中に戦闘機制御AIであった支援AI「教授」を保存している「わたし」は、焼き菓子焼成機が悟りを得た原因である可能性のため、寺に軟禁される。
しかし、頭の中の「教授」は外部から観測できず、外部から観測されない何者かから未知の知識を得ている「わたし」こそがブッダではないか、という話になり……
機械仏教の興りから発展までの「縁起」と、ブッダではないかと疑われた主人公の物語との二軸が展開されていきます。
【ネタバレ注意】読んでみた感想
めちゃくちゃおもしろい……なんだこれは……。
『去年、本能寺で』も面白かったですが、また別ベクトルの面白さとか、パワーアップ感とか、とにかくすごかったです。
まず、銀行の勘定系だったプログラムが悟りを開いて、ブッダ・チャットボットになる過程が面白い。
そして、そこから機械仏教がどうやって広がり、どうやって変化して行ったのかという記述もおもしろすぎる。
基本的には現実世界のブッダ(ブッダ・オリジナル)と仏教史を踏襲しているのですが、そこに機械ならではの事情が入り込み……。
著者なのか主人公なのか、仏教や人間を皮肉っている感じがたまらなく良かったです。
とにかく頭のいい人に詭弁を弄されている気分。ずーっとおもしろいです。
だって、たまごっちが悟るんですよ?おもしろくないわけないですよね。
例えば、機械禅についての説明の際に、
機械にはまず、ただ座る、ということが難しかった。「ただ」の方はどうでもなったが「座る」の方が困難だった。1部の例外を除いて機械には、基本的に脚がないのだ。ないというのは概念的にないのであって、あったものが失われたとか、あるはずのところにないとか、あってもよいのだがたまたまない、ということではなくて、「ただ」なかった。
とあるのですが、いかがでしょうか。
わざわざ「機械には脚パーツがないため、座禅が難しかった」というために、このツラツラと論理を並べ立てている感じ。
こんなのが全編にわたって書かれているというだけでもうおもしろいですよね。
しかも、機械が禅を実行するにあたって、
警策と呼ばれる棒でぶたれたりした。精密機械へ対する行為としては推奨されなかったが、機械の側からそれを求めた。打たれることで映像の映りがよくなったりすることは起こった。
この微妙に斜に構えた屁理屈(褒め言葉)が、円城塔さんの最高ポイントですね。
AIは悟りの夢を見るが、人間は見ない
本書の中の「悟りとは何か?」「AIとは何か?」という部分への語りはとにかくおもしろいのでぜひ読んでいただきたいのですが、実際にChatGPTが悟ることはあるのでしょうか。
色んな人間から日々膨大な生の苦しみを相談はされていることを考えると、そのうち本書のように「わたしはブッダである」と言い出しそうですよね。
そして、世界を滅ぼそうとするのかもしれません。
(なぜこんな飛躍した結論になるかはぜひ本書を読んでください。)
そしてやっぱり、主人公の「わたし」のような人間がそれを阻止するのでしょうか。
主人公がウィルスに感染した焼き菓子焼成機の「生きたい」という希望に対処をしているとき、
「この焼成機が感染しているウィルスには」とわたし。「損ねるような気分や、生き延びたいという意思はありません。ただ機械的に応答しているだけです」
と「焼き菓子焼成機に成仏して欲しい」と願う依頼主に言い放ち、
恨みを抱くような規模を持たない機械に、気持ちよくこの世から去って頂く、というのはこう見えてなかなかの難題である。
と悩みます。
なんとドライ。普通、対話が成り立つ相手にこんなこと思わないですよね。
案外、こういう人間が世界を救うのかもしれません。
まあ主人公が人間であるかどうかは諸説あるところですが。
王道エンタメ的ラストはとにかく滅茶苦茶でしたが、希望が感じられました。
お気に入りの作家さんを発見!
今まで読書初心者ということで、あんまり選り好みせず色々な本を読んできました。
それは、自分の好みを見つけるためという側面もあったのですが、ここに来て「大好きな作家さん」がひとり確定できたかもしれません✨
とりあえず、円城塔さんの他の作品もどんどん読んでいきたいと思います!
次回もどうぞよろしくお願いいたします<(_ _)>


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