全く本を読んだことがない新卒が読書を始めてみるというこのブログ。
47回目は舞城王太郎さんの『短編七芒星』について書いていきます!
Tiktokでバズった、あの有名な書出しの短編が収録されている本です。
本当に衝撃的な書き出しで、投稿を見たときからずっと気になっていたので、今回ようやく手に取れて嬉しいです✨
読んで感想を書いていきます!
※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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舞城王太郎『短編七芒星』を読んでみた
ろくでもない人間がいる。お前である。
この有名な書き出しから始まる短編「代替」。
Tiktok等、SNSで46万もの「いいね」を獲得したこの書き出しは、ちょっとやそっとじゃ忘れられそうにないですよね笑
本作『短編七芒星』には、そんな「代替」も含め、タイトル通り七つの短編が収録されています。
ミステリーからホラー、すこしふしぎ系まで、7つとも個性豊かで、飽きずに楽しめました!
あらすじ
↓今回もあらすじをまとめました!↓
都内で連続して発生している「足切り殺人事件」。片足を切断した後、助かろうとして藻掻く被害者を失血死するまで放置する、という残酷な殺人鬼による犯行である。捜査に行き詰まった俺は、長年の友人である探偵・奏雨に推理を依頼する……。
最初の短編「奏雨」のあらすじです!
これはミステリー色の強い作品ですね。
刑事である「俺」から、事件の概要を聞いただけで探偵・奏雨は事件の真相を突き止めます。
なぜ犯人は被害者の片足だけ切断したのか?そして、なぜその後放置したのか……。
なるほど!となる解決でした。
【ネタバレ注意】読んでみた感想
今回は短編集なので、各章ごとに感想を書いていきます!
奏雨
先程あらすじを紹介したミステリー短編です!
探偵役である奏雨が連想ゲームのような形でほのめかすだけで、なかなか真相に迫ってくれないので少し焦れったくなってしまいましたが、なんとそれがヒントだったとは……!
真相がピンとくるか否かは、人によるというか、その人の趣味や年代によるというか(これ以上はネタバレになってしまう!)、、、
しかし、今までに読んだことがないようなミステリーだったので、短編で読むストーリーとしてすごく満足感が高かったです!
あえて言うなら、探偵の名前がヒントです。
狙撃
これはすこしふしぎ系の短編。
ある敏腕狙撃手が撃った弾が、30発に1発の割合で虚空に消えてしまう。そしてなぜか、消えた弾丸は世界中の「悪人」の心臓から発見されるのだ……。
戦場でひたすら人を殺す、ある意味職人としか言いようのない凄腕狙撃手が撃った弾が、なぜか地球上のあらゆる悪人の心臓に届き、その命を奪っていく、という物語です。
主人公としては、人を殺しすぎてる自分の善悪の比率を世界が正そうとしているのかな、なんてことを考えたりしますが、真相は藪の中。
皮肉でもない、自然としか言いようのないラストも合わせて、独特な世界観の作品でした。
落下
これはホラー系の短編です。
引越し当日、新居であるマンションの屋上から人が飛び降りた。
そして、翌日以降もその日に人が飛び降りた時間と全く同じ時間に、人が落ちる音がするようになる。
しかし、実際に人が落ちた気配は無い。
そして、その特定の時間、マンションの共用部で黒い人影が目撃され始める……。
ミステリーとホラー、すこしふしぎ系を混ぜ合わせたようなオチでした。
主人公が小学生の女の子なので、リアルな恐怖が伝わってきて、読んでる途中は結構怖いです。
あと、幽霊騒ぎの真相を知ると、なんだかやるせない気持ちにもなります……。
主人公のお父さんが主人公たちに投げた、「なぜ幽霊騒ぎがあったマンションに住んでて虐められないと思う?」という問いがこんなに悲しいなんて、、、
雷撃
これはすこしふしぎ系というか、ファンタジー作品。
幼い頃拾ってきた石に意思が宿り、24時間365日ついてくるようになった僕。
いじめっ子への制裁もしてくれる石にすっかり慣れてしまっていた僕であったが、シービーという女の子を意識するようになって、石との決別を決意する……。
人によってはかなりのホラーというか、意思のある石(ダジャレ?)に付きまとわれるというのはかなりの鬱展開ですよね。
しかし、この主人公はあっけらかんとしているというか、石にちょっと愛着すら抱いているからすごい。
そして、主人公が同級生の女の子シービーに抱く恋心も、中学生らしくて甘酸っぱい。
主人公はシービーに提案され、石と泣く泣く別れようとしますが、石の方も黙ってはいない(物理的には黙っていますが、抵抗は激しい)。
色々な方法を試していき、ついに主人公は石と決別を果たせるのか……!?
ぜひ見届けてください。
代替
これがかの有名な、「ろくでもない人間がいる。お前である。」の短編です!
私はずーっとこの言葉を読者へ向けた言葉だと思っていたのですが、違うんですね、、、。
この「ろくでもない人間」である「お前」を、客観視点から見ている「俺」の物語でした。
生まれた頃から他人の嘆きを喜びと捉え、自分が迫害されてもむしろニヤニヤと喜ぶようなどうしようもない人間、としか言いようのない「お前」。
ついに悪行が祟り、被害者たちに殺されかけるが、目を覚ましたとき「お前」の身体の中にいたのは「俺」だった……。
死にかけたことをきっかけに、「俺」と「お前」の意識の主体性が入れ替わる、というストーリーです。
冒頭で「お前」がポロクソに言われるので、「おいおいそこまでの人間は流石にいないだろ」となるのですが、話を聞く度に「たしかにろくでもない……」となってきます笑笑
「俺」は入れ替わったあと、「お前」の望みを果たし、ロクデナシの存在を消すため自殺をしようと決意するのですが、身体が動かず……
どんなにロクデナシでも、やっぱり「俺」は「お前」を愛さずにはいられなかったんですかね。
色んな解釈ができるラストだと思います。
春嵐
これはすこし純文学っぽい作品。
妹視点で、彼女の誘拐された弟を助けんと身体を張った兄のため、兄の飼い犬を兄カノと探す、というストーリーです。
飼い犬を探しながら、主人公は「好き」という感情や、「心配」という感情について考え、誰かのために行動するってどんなこと?と思いを巡らせます。
「心配だから」とか、「〇〇のため」とか、誰かへの好意を大義名分として人に迷惑をかけるのはもちろん良くないけれど、じゃあその感情と身体を張った兄の感情ってなにか違うんだろうか、とか。
確かによく考えると分からなくなってきそう。
犬も無事で、明るく終わるのですが、なんとなく村田沙耶香さん味のある作品でした。
縁起
これもファンタジー的作品です。
長女に産まれる前の記憶を聞いたところ、豚に虐げられているまだ産まれていない弟の話をし出す。
その話を真に受けた妻は、長男を出産するとき、「豚から奪い返してきた」と語った。
そして生まれてきた長男は豚を怖がり、豚が弟を連れ戻そうとしているという話に信ぴょう性が高まる中、妻の子宮に癌が見つかる……。
「雷撃」もそうですが、舞城王太郎さんは人智を超えたものは、例え人間にとって害となるものであっても”神様”とみなすようです。
一家に仇をなそうとする豚に、夫であり父である主人公はどう対峙するのか。
生まれる前の世界、というのは色々な話がありますが、家族みんなで信じられる体験があるというのは幸せなことなのかもしれませんね。
やっぱり「代替」が一番好き!
『短編七芒星』に収録されている7編の短編のうち、やっぱり1番好きだったのは「代替」でした!
さすが、バズっただけの事はある……。
色んな読み方があるし、「お前」や「俺」にどんな感情も抱くかは人それぞれだと思います。
とんでもない悪人である「お前」への「俺」の愛とか。
色々な短編が収録されている本は、色んな味が楽しめて良いですね!
もっと幅広い作品を読んでみたいです✨
次回もどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

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