全く本を読んだことがない新卒が読書を始めてみるというこのブログ。
30回目は前回に引き続き、村田沙耶香さんの『世界99』について書いていきます!
上巻がすごい衝撃だったので、そのまま下巻を読みました👍
果たしてどのように終わるのか……
感想を書いていきます!
※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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村田沙耶香著『世界99 下』を読んでみた
喜怒哀楽がない主人公・如月空子の視点で、性欲の対象や繁殖の役割が遺伝子配合によって生まれた生物・ピョコルンへと代替されていく社会が描かれる本作。
誰もが誰かに使われて生きている様子が、どこか社会を第三者的目線で見ている空子によって逐一明確に言語化されているので、非常に重い作品です。
しかし、全く”現実の醜さが誇張されている”という感触はなく、むしろリアルすぎて気持ち悪いくらい。
『コンビニ人間』が更に進化した作品という印象を受けました。
あらすじ
⇓今回もあらすじを書きました!⇓
ピョコルンが実はラロロリン人のリサイクルによって産まれているということが世界中に知れ渡った「リセット」以来、人間は3種類に分けられるようになった。空子が所属するのは、8割以上が所属する「クリーンな人」という分類。そこに所属する人は、怒りや憎しみといった「汚い感情」を表現しなくなり、社会の運営をラロロリン人を中心とした「恵まれた人」に任せていた。明人がピョコルンになって以来、「クリーンな人」になりきれず汚い感情を捨てきれない「かわいそうな人」である白藤さんと同居生活を営んでいる空子は、白藤さんの娘である波ちゃんにせがまれ、ピョコルンを飼い始める……。
上巻のラストで、ピョコルンの正体が実は人間であったという事実が世界中に知れ渡り、一旦全ての人間関係が破壊された空子の社会。
上巻についてはこちらで書いています!
下巻では、夫と離婚し実家に戻った空子と、同居人である白藤さん、そして白藤さんの娘である波ちゃんが物語の中心となります。
相変わらず相手に呼応することで生きているため、難なく社会の変化に適応し、「汚い感情」を捨てた「クリーンな人」として生きている空子と、世界③を持ち続けている白藤さん。
さらに、生まれつき「クリーンな人」である波ちゃん。
価値観の異なる3人の同居生活は、ピョコルンを飼い始めたことによって徐々に壊れ始め……。
上巻よりさらに衝撃的なラストまで進みはじめます。
【ネタバレ注意】読んでみた感想
『世界99』には私が気がついてないだけで色々なテーマが含まれていそうでしたが、私が作品を通して1番おもしろいと感じたのは、加害者と被害者を行き来している空子の内面です。
上巻からずっと、空子は人間が「加害者である瞬間」にすごく敏感なんですよね。
そして、大抵の人が自分が「加害者である瞬間」に気が付いていない。
空子自身、性的対象としての「賞味期限」が切れる以前、ずっと消費されてきた「被害者であった自分」と、ピョコルンが性欲・生殖を女性から代替するようになった以後の、消費する側、「加害者である自分」両方を心に持ち、どのように振る舞うべきか葛藤します。
しかし、空子と同様、ずっと被害者である人もいないし、ずっと加害者である人もいないんですよね。
誰もが被害者であり、誰もが加害者であるというのは『世界99』でずっと語られてきた言葉でした。
「ピョコルンが人間のリサイクルだってわかったときです。みんな、普段、自分のこと、なんとなく被害者だって思ってません?私もそうですけど。ラロロリン人ですしねー。でも、あの瞬間、なんか、全員、逃れようもなく加害者って感じじゃなかったですか?だからなんか、少し嬉しかったな。笑えました。やったーって感じしました。ちょっとだけ」
空子と同じように呼応して生きている音ちゃんと言葉。
ずっと感想として「気持ち悪い」と言ってきましたが、こんな風に上下巻合わせて800ページ以上「お前は被害者ヅラしてるけど、実は加害者でもあるってことを忘れるな」と突きつけられているがゆえの「気持ち悪い」だったんですね。
白藤さんを、波ちゃんを、彼女たちの人生を粉々にしながらな生まれてくる子供が、彼女たちと同程度には踏み躙られる未来を携えた生き物であればいいと、どこかで願ってる。
生まれてくる存在が自分と同程度に踏みにじられる存在でありますように、と祈る空子に、一生終わらない連鎖を感じて、それにめちゃくちゃ共感している自分にも、その連鎖にも改めて「気持ち悪い」と感じました。
ラストについて
「記憶をワクチンにして全員が同じ前提で生きていく」というのは、誰でも考えたことがあることではないでしょうか。
この物語ほど具体的ではなくとも、「あの人も同じ環境にあったらあんなこと言わないだろう」とか、「同じ苦しみを味わってみないと気持ちは分からないだろう」とか、一度は思ったことがありますよね。
それを突き詰めていくと、本作のラストになるのかな……と。
そして、そんな世界で記憶を全人類に捧げてピョコルンになった空子と、最後まで自分の頭で考えることを止めずに記憶のワクチンを拒否した白藤さんが、絶対交わらなくて、人間って感じがしました。
私はこの世界で「ピョコルンになるか?」と聞かれたら、どう答えるんでしょう……。
なんか、ピョコルンになってもなんとなく自我があると知っていれば、美しい生き物になるためにピョコルン化手術を受ける気がします。
そこまでいかなくとも、きっと記憶のワクチンは当たり前に受けるだろうな……。
波ちゃんがいちばん近いキャラクターかもしれません。
村田沙耶香さんに大ハマり!
『コンビニ人間』と『世界99』。
まだ2作しか読んだことがありませんが、村田沙耶香さんにハマる気配がします。
もっと色々な作品を読んでいきたいです!
次回もどうぞよろしくお願いいたします。



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