【29冊目】『世界99 上』|まったく読書したことない新社会人の読書日記

読書記録

全く本を読んだことがない新卒が読書を始めてみるというこのブログ。

29回目は村田沙耶香さんの『世界99 について書いていきます!

ずっと気になっていたので、やっと読めて嬉しいです✨

上下巻でかなりの分厚さ…。
初心者に読めるか不安ですが、挑戦してみます!

※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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村田沙耶香著『世界99 上』を読んでみた

『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの最新作『世界99』。

『コンビニ人間』もかなりの衝撃でしたが、それ以上に衝撃的な作品でした…。

あんまり褒め言葉としては使えないかもしれませんが、とにかく「気持ち悪い」という言葉がピッタリな作品です。

分厚さを感じさせないくらい面白く、読みやすいのですが、圧倒的に消費カロリーが多い…

ただ、「これがベストセラーになってくれて良かった」と思わせてくれます。

しばらく思考が『世界99』にジャックされるかもしれません。

あらすじ

⇓今回もあらすじを書きました!⇓

如月空子は、ものごころつく前から「他人にとってそうあって欲しい自分」を作り出して生きてきた。親の前では、可愛くて素直な「そらちゃん」。幼稚園の先生にはしっかりものの「空子お姉ちゃん」。そんな風に、相手の希望に合わせては人格を分裂させ、相手の望む通りに合わせ続けた。中学生のころ、「ラロロリン人」と呼ばれる特殊な遺伝子を持った人間が、日本人社会の中で「穢れ」として扱われはじめた。新しい差別が組み込まれたように、遺伝子組み換えで誕生した生物「ピョコルン」が性処理や出産を代替するようになってから、社会は更に変容していく…。

喜怒哀楽がなく、ただ「危険か否か」を判断し、できるだけ安全に、できるだけ楽に生きようと相手に迎合することだけを繰り返してきた主人公・空子。

『世界99』上巻は、空子の視点から変容していく社会が描かれます。

それまで「ウエガイコク」の憧れの存在だったラロロリン人が差別の対象となった中学生時代。

男性の性的対象が遺伝子組み換えで生まれた「強制的に可愛い存在」であるピョコルンに切り替わった大学生~社会人。

空子は、ひたすら安全に生きるため、生きる世界に合わせて自分を徹底的に作ります。

地元の人間のコミュニティである世界①では苦労している主婦、上流階級の集まりである世界②ではハキハキと働くキャリアウーマン、活動家たちの集まりである世界③では傷付きやすい繊細な女性。

持ち物や言動など、全てを変える空子はやがて、自分と同じように相手に合わせて生きている”音ちゃん”と出会い、世界99に到達する…。

上巻の終わり方が衝撃的で、すぐに下巻が読みたくなります!

【ネタバレ注意】読んでみた感想

とにかく気持ち悪い(褒め言葉)!

いつも見ている世界は、喜怒哀楽のない人間が見るとこんなに不合理で気持ち悪いものなんだ…と思いました。

過去を簡単になかったことにする人たちに、差別を嫌いながら差別的な発言をする人たち。

差別者だと誰かを罵る言葉に差別がまじっていることは、私の経験ではよくあることなのだが、何度聞いても面白い。

リアルだし、普段自分が生きている世界と比較しても全く違和感がないのに、空子の見ている世界はほんとうに醜い。

特に、ラロロリン人を差別して自ら死を選ぶまで追い込んで起きながら簡単に記憶を改竄し、ラロロリン人とそうでない人のメロドラマに泣く同級生たち。

目を真っ赤にしたナルミを抱きしめて「レナがいたよお」と涙声で言いながら、え、殺したのお前じゃなかったっけ、と思っていた。

差別してきたのに、まるでそんな過去が無かったかのように被差別者の映画に泣くナルミも気持ち悪いけど、それに容易く迎合する空子も気持ち悪いし、小説の世界だからと他人事のように気持ち悪いと思う自分も気持ち悪い、、、

この小説を読んですごく考えさせられた!みんなも読んでぜひ考えてみて!というのはとても傲慢な気がするのですが、それでもこの本がベストセラーでほんとうに良かったと思います。

村田沙耶香さんの描く主人公はとても厳しい

村田沙耶香さんの著作は『コンビニ人間』と『世界99』しか読んでないのですが、どちらも心にすごく突き刺さりました。

自分がふだん全く意識していない傲慢さとか、醜さを全てはっきりと言語化し、リストアップされたような感覚を抱きます。

持っている遺伝子で差別する空子の同級生たちはもちろん、差別を良しとしない人間にすら傲慢さはある。

空子の元親友である白藤さんは、「正しい」あまり他人にもそれを強要し、「間違った」他人を正しい道に戻そうとする。

しかも、優しさからはっきり「あなたは詐欺に引っかかている」と言わずに、やんわりと自分で「間違った道に進んでいる」と気がつけるように誘導するというやり方は、確かにすごく傲慢ですよね。

馬鹿なのは事実なのでいいのだが、白藤さんならもっと率直に言うと思っていたので、議論せず誘導しようという姿勢はだいぶ傲慢に感じられた。

こんな風に傲慢に人生をコントロールされるなら、詐欺にお金を搾り取られるほうがましだった。

今まで、(そのように行動できるかは別として)白藤さんのような行動を良いと思う価値観の人生だったので、この言葉はすごく刺さりました

確かに白藤さんの「正しさ」は傲慢だし、端っから自分の考えの方が「正しさ」のレベルで上だと無意識に決めつけて相手を自分のレベルまで誘導しようとしている行動は彼女の「正しさ」以上に傲慢ですよね…。

だから白藤さんは”自分の意思で無知を選択している人”から排除されるし、「正しさ」を競っていない人にまで自分の言葉を届けることができない。

村田沙耶香さんは、普段生きているうえでなんとなく感じていることを言語化してくれるから、読んでいてすごく「この物語と出会えて良かった」と思えます

でも、言語化するということは、はっきりしていなかったことをはっきり見せられるということでもあるし、厳しさでもあるんだな、と感じました。

飲み会の途中とか、ふとしたときに「あ、今の発言村田沙耶香さんの主人公ならこう思うかも」と思い浮かぶくらい、読む前と読んだ後の世界がはっきり分かれます

下巻も楽しみ!

『世界99』は上巻だけでもすごく満足度の高い作品ですが、実はまだまだ半分なんですよね…。

上巻が衝撃的な終わり方をしたので、下巻を読まずにはいられません。

次回は下巻について書いていく予定です!

どうぞよろしくお願いいたします。

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