社会人になって、自分の語彙力の無さに絶望!
そんな新卒1年目が読書を始めてみるというこのブログ、12回目となる今回は受賞するとたちまちベストセラーになるという「本屋大賞」を今年受賞した小説について書いていきます!
その本とは……阿部暁子さんの『カフネ』!
読書初心者が読んだ率直な感想をお話していきます!
※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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『カフネ』を読んでみた
タイトルの意味は、ポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」だそう。
日本語にするのが難しいニュアンスらしく、阿部暁子はそのニュアンスを『カフネ』の物語全体で表現しているのかな〜なんて思いました。
帯に書いてある言葉が、この物語が表現する「カフネ」なんですね↓
友達でも恋人でも家族でもないけれど、ただあなたの髪を撫でたい。
あらすじ
⇓今回もあらすじをまとめました!⇓
法務局に務める野宮薫子は、長年の不妊治療の末夫に離婚を告げられ打ちのめされていたところに、最愛の弟の訃報という衝撃的な出来事に遭遇する。精神が不安定な中、弟が結婚を前提に交際していた元恋人・小野寺せつなに弟が遺した遺産を渡すため、接触をはかる。しかし、八王子のカフェで待ち合わせをしたせつなは待ち合わせに遅れたうえに、遺産はいらないと言い張る。怒りのあまり体調を崩した薫子を何故かマンションまで送ってくれたせつなは、強引に家に上がり込んで料理をし始める……。
みんなに愛される存在だった大切な弟を亡くした姉が、弟の元恋人と一緒に弟が生前なにをしていて、何を考えていたのかをなんとか知ろうとする物語です。
法務局に務めるお堅い公務員である姉・薫子と、つなぎにお団子といういかつい格好をした料理専門の家政婦である元恋人・せつなは、初対面から喧嘩ばかりしていて、全く気が合わなさそう。
しかし、せつなのつくる温かい料理で心が解され、お酒を辞めた薫子は、生前の弟と向き合ううちに、せつなに恋愛でも友情でも家族愛でもない、でも確かに「愛」と呼べる感情を持つようになっていく。
その過程で登場する料理がどれも美味しそうで、薫子やせつなに向けられるひどい言葉を読んで心が傷付いても、なんとか修復されていくんですよね。
料理ってすごい。
【ネタバレ注意】読んだ感想
『カフネ』の物語は、「生まれてくることはしんどいことだ」という前提に立って紡がれています。
そこが、よくある料理系のドラマや漫画と違うところなのかな、と感じました。
生まれてくることがいいことなのか私にはわからないし、子供本人に自分が育つ環境も選ばせずに、こんなにどんどん壊れていくような世界に何十年っていう人生を背負わせて生まれさせる。それは、すごく理不尽なことだと私は思います。
「子供を生まない」という選択の理由を話すせつなの言葉です。
料理系の物語って、「辛いことも悲しいこともあるけれど、美味しいご飯を食べられる人生ってやっぱり良いものだ」っていうものが多いじゃないですか。
でも、『カフネ』では、料理を含む家事全般を「生きている限り仕方なくやらなければいけないもの」と見ているんですね。
どうしようもないことだから、心身を注ぐべきとは限らないもので、だから代行サービスに頼ってもいい。
「家事は愛情の証」というような、家事信仰的な考えがありますが、家事にどれだけ比重を置けるかどうかなんて人それぞれですよね(かくいう私も家事全般苦手です……笑笑)。
そして、「家事信仰」を解体して代行サービス等に広げることで、同じく「家族愛信仰」を解体して、もっと広い愛情のかたちを描いている。
『カフネ』では、家族愛というものがとことん打ちのめされるんですよね。
でも、薫子とせつなが「カフネ」という感情(もしくは家事代行サービスの事業所としての「カフネ」)で繋がり、家族でも恋人でも友達でもないけど愛する存在となる。
決まった関係性に愛があるはずと思うと辛いし、愛が見つからなかったときに自分を責めてしまうけど、元々他人だったらもっと何かを責めない愛が見つかるのかな、と思いました!
しんどいけれど、確かに「愛」と呼べる何か
亡くなってしまった薫子の弟・春彦は、みんなから愛されていたはずなのに、それ故に自由には生きられなかったんですね。
二人のその想いは、たぶん愛と名をつけてもいいものだ。そして、長年春彦を縛りつけてきたものだ。
両親は両親なりに春彦のことを愛していて、世間一般的にもそれは「愛」だけど、でも春彦は逃げ出したいほどそれを重荷に感じていた。
家族愛だからって良いものとは限らないし、心から幸せを願っていたって本当に幸せかどうかわからないということを教えられました。
それでも、愛は愛なんですよね。
薫子の変わらなさが良かった!
薫子は、真っ直ぐで努力家。
それが仇となって親にも恋人にも面倒くさいとか、息苦しいとか言われるけど、最初から最後まで息苦しい薫子が良かったです。
特別美しいわけでも特別愛されるわけでもない自分だけれど、諦めずに独力で人生を切り開いてきたことは誇りだった。
冒頭の薫子の言葉です。
最初と最後で主人公が変化する物語が多くて、それはそれでいいことだとは思うのですが、やっぱり最初から誇りに思っていることは変えないで欲しいな、と思います。
何度酷いことを言われようが、何度拒絶されようが、息苦しい性格の薫子が好きです。
私も諦めずに生きていきたいですね。
目標まであと89冊。
次回もどうぞよろしくお願いいたします!


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