【41冊目】『犯人と二人きり』|まったく読書したことない新社会人の読書日記

読書記録

全く本を読んだことがない新卒が読書を始めてみるというこのブログ。

41回目は高野和明さんの『犯人と二人きりについて書いていきます!

「面白い小説をお探しのあなた、この本はいかがですか?」

と帯に書いてあったので、面白い小説を探していた私は思わず「はい!」と買ってしまいました笑

読んだ感想を書いていきます!

※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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高野和明『犯人と二人きり』を読んでみた

江戸川乱歩賞・日本推理作家協会賞・このミス1位・週刊文春ミステリー1位と、数々のミステリー賞を受賞した高野和明さん。

最近だと、『踏切の幽霊』を書店やTLでよく見かけます!

そんな高野さんの最新作『犯人と二人きり』には、ミステリー短編7作が収録。

表紙から受けた勝手なイメージで、カチカチのミステリーだと思っていたら、SF??ホラー??やっぱりミステリー??という印象

これが高野和明のミステリーか!となる短編集でした。

あらすじ

↓今回もあらすじをまとめました!↓

私は気が付くと、砂浜の上に倒れていた。ここが砂浜であることはわかるが、自分が誰なのか、今はいつなのか、何故ここに倒れているのか、一切分からない。警察に保護された私は、『全生活史健忘』と診断されたが、原因は未知のままだった。医者からの提案により、記憶喪失者を集めているという政府施設で就労することになった私は、自分のことは一切分からないまま友人を作り、愛する人もできた。果たして、私は誰なのか……。

収録作品1作目の「ゼロ」は、1番SF色が強い作品でした!

記憶喪失者を集めている政府の目的は?そして、なぜ私は記憶喪失になったのか?

記憶がないということに対する考察も含め、皮肉的というか、虚しさ溢れる作品です。

【ネタバレ注意】読んでみた感想

今回は短編集なので、それぞれに対する感想を書いていきます!

「ゼロ」

先程あらすじを書いたSF短編です!

政府施設に行って、はじめのほうは「みんな優しい〜!」「毎日充実してる〜!」となっていた主人公。

しかし、恋人と過ごすうちに「自分が何者か分からないこと」が不安になってきて……。

主人公の恋人リンは「過去がないということは、辛い過去が何もないということ」「人に傷付けられた経験が無いから人を傷つけようと思わない」と記憶喪失に対して非常にポジティブ。

一方、主人公は「記憶喪失じゃなかったらリンは愛してくれていないかも」「何も知らないから意見表明もできず、イエスマンだから好かれているだけだ」とめちゃくちゃネガティブ。

そして拗れた恋人関係の結果、待っていた結末は……。

めちゃくちゃ皮肉だな、と感じました。

リンの「人に傷つけられたことがないから人を傷つけようと思わない」というのは、どうなんでしょうね。

赤ちゃんや幼稚園児も人を傷つけていることを考えると、無邪気さも人を傷つける原因になる気がします。

だからといって、主人公の主張も極端だと思いますが……。

自分を見つけようとすることに対する冷笑的なものを感じる作品でした。

「跫音」

久しぶりに会った友人に相談を持ちかけられた。

いわく、毎日自分のことを追いかけてくるエナメルブーツの跫音に悩まされている、と。

リストラされたばかりで時間のある沢木は、その音の正体を確認しようとするが、自分にまで跫音が聞こえるようになってしまい……。

ホラー×ミステリーの短編です!

友人にだけ聞こえる跫音の正体は?付近で起こった殺人事件との関連は?

因果応報なラストでしたが、警察官の最後の言葉が印象的でした。

身近な人間が、影で何をしているのか分からない。家族思いの父親が、ある日突然、殺人者に変貌する。そんな事例を、私はたくさん見てきました。それが、人の世ってもんですよ。おそらく?あの世よりも恐ろしい所でしょう。

幽霊が出てくる小説で、これは皮肉すぎる……。

「死人に口あり」

群馬県の郊外にある寺の墓地で、女性が殺された。

犯人の目星はついているが、決定的な証拠がない。

聞き込みを続けていると、被害者の女性が殺された時間に殺された場所に現れ、手招きをしている姿が複数人に目撃されているらしい……。

幽霊によって事件が解決するミステリーというのが高野さんのお得意なのか、この短編集だけでもいくつか出てきます!

この「死人に口あり」はタイトル通り、被害者自身が犯人逮捕に繋がる証拠を提示する、というミステリー。

犯人は最初からわかっているので、どのように犯人逮捕に繋げるか?という過程を追っていきます。

ストーリーの本筋よりも、事件現場の寺の住職さんがいちばん面白い回でした笑

「二つの銃口」

無差別殺人犯と校舎内に閉じ込められた整備会社の石山健太。

ラジオから得られる細切れの情報によると、犯人は猟銃を持っており、二重人格らしい。

石山は助けが来るまで無差別殺人犯から逃げ切れるのか……?

舞台は1500人が通う私立の中高一貫校。

石山と連続殺人犯はその中で追いかけっこをするのですが、1500人が通っているにしてはちょっと狭すぎないか……?と思うほど犯人と遭遇します。

私が通っていたのは1800人規模の中高一貫校だったのですが、その校舎を思い出すと逃げ隠れが意外と簡単そう笑

犯人しか悪くないのに、出てくる人たちみんなが結構可哀想な感じになる短編でした。

「ハードボイルドな小学生」

設定がめちゃくちゃ良い短編です!

ハードボイルドで、主人公の語りはほとんどこの間読んだ『失われた貌』と同じなのですが、なんせ主人公は小学生舞台は小学校

煙草の代わりに吸うのはチョコレート、報酬は多額の金ではなく10本のコーヒー牛乳。聞き込みするのは、クラスメイトの休み時間の過ごし方。

探偵業をはじめた優は、謎の女の依頼により、先日クラスで起こった事件の解決に乗り出す。

するとひとりの容疑者が捜査線上に浮かんできたが、それは優の元親友で……。

設定も場面も、小学生とハードボイルド探偵のミスマッチで楽しく読めますが、オチが意外と深いラストでした。

「天城の山荘」

ファンタジーというか、ホラーの作品でした。

沢山の幽霊が登場するのですが、こちらも結局いちばん怖いのは生きている人間という……。

ストーリーとしては、不動産業界の友人からある洋館の調査を依頼された新聞記者が、いわくの正体を調べるというもの。

洋館の前の持ち主は、人間の霊魂に興味を持ち、幽霊を研究するためにその物件を入手し、そして行方不明になったとか……。

こちらも幽霊によって事件解決に至るパターンのミステリー。

一概ににそう言っても、色々なバリエーションがあるんだな、、、とわかる短編です!

「三人目の男」

最後の短編は、収録作品の中で一番希望のあるストーリーでした。

夢で見た交通事故出なくなりつつある青年が自分の前世なのではないかと考えた麻里子は、その死の真相を確かめようと動くが……。

夢の中では最期にビデオテープを撮影しているはずなのに、それが見つかっていないのは何故か?

青年が死亡してから29年経過して、それでも解き明かすべき過去と、そっと伏せておくべき過去の対比が心にじんわりと染みます。

そして、青年がほんとうに主人公の前世なのか!?ということについては、今まで6編の高野和明さんの短編を読んできたからこそ引っかかってしまうミスリード

最後の最後にこれを持ってくるのはなかなかにくい構成だと思います!

被害者自身が解決するミステリー

『犯人と二人きり』では、今まで読んだことがないミステリーを楽しめました。

幽霊が存在することを大前提として、幽霊となった被害者自身が事件を解決する!……というのは、斬新ですよね。

でも確かに、被害者自身が本当に幽霊になって教えてくれたら、犯人逮捕も早いし、なにより無念を晴らせますよね

意外と面白いだけの設定ではないのかもしれません。

『踏切の幽霊』など、高野さんの別の作品も読んでいきたいです!

次回もどうぞよろしくお願いいたします<(_ _)>

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