全く本を読んだことがない新卒が読書を始めてみるというこのブログ。
44回目は夕木春央さんの『方舟』について書いていきます!
最近すごく話題となっているミステリー小説!
ラストがすごいと言われているので、気になります。
読んで感想を書いていきます!
※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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夕木春央『方舟』を読んでみた
2019年、「絞首商会の後継人」で第60回メフィスト賞を受賞しデビューした夕木春央さん。
本作『方舟』は単行本時、「週刊文春ミステリーベスト10」2022年国内部門第1位を獲得しています。
2025年に文庫化され、帯いわく「2025年講談社ミステリで一番売れた本」なんだとか。
実際、読んでみるとラストの衝撃は想像以上で、舞台設定からキャラクターたちの行動まで、全てが唯一無二なミステリーでした。
あらすじ
↓今回もあらすじをまとめました!↓
大学時代のサークルメンバー7人で久しぶりに集まった柊一たちは、裕哉の発案により山奥の新興宗教の跡地と思しき廃墟を探検することとなった。しかし、道に迷った末到着が日没後になり、地下にあるその廃墟で一泊することに。そこに、「きのこ狩りをしていたら迷った」という矢崎一家も到着し、合計10で夜を過ごすことに。しかし、突然大きな地震に見舞われ、廃墟の出入口が閉ざされてしまう。地下からは、水が浸水して廃墟を水没させようとしている。脱出するためには誰か1人が犠牲となって出入口を塞いでいる大岩を動かさなければならない。しかし、そんな極限化の状況で、裕哉がしたいとなって発見された。犠牲になる1人は、殺人犯であるべきだ――。
地下にある廃墟に閉じ込められ、嵩を増してくる水に追われながらも、殺人犯を見つけようとするミステリーです。
生き残った人たちが無事に脱出するためには、出入口を塞いでいる大岩を動かさなければならないが、動かした人は必然的に廃墟に閉じ込められ、そこで死を待つしかない…。
そんな無惨な死を迎える人は、こんな極限状態の中でも殺人を犯した「悪い人」であるべきだ、と裕哉を除く9人の中で合意が固まり、犯人探しが始まります。
しかし、やがて第2の殺人が起こり…。
極限の状態の設定が上手すぎるうえに、そこから「誰か1人悪い人を犠牲にする」という図式を作り出すのもすごい。
なぜ放っておいても死ぬ可能性が高い状況下で、わざわざ殺人を犯さなければならなかったのか?
犯人探しと同様、動機もまた重要なポイントです。
【ネタバレ注意】読んでみた感想
怖すぎてページを捲る手が止まりませんでした。
中断できない…。
そして、恐怖から早く抜け出したくて解決編まで駆け抜けたのに、全然救われなかった。怖いまま。
まず、解説で有栖川有栖さんも仰っていますが、「自分がこの状況に陥ったらどうするか?」と人に話したくなる状況設定がすごい。
ちなみに、みなさんならどうしますか?
地震で廃墟に閉じ込められて、水が足下に刻一刻と迫ってきて、誰か一人を犠牲にしないと生き残れないと言われたら…。
正直、私も「殺人犯(=)いちばん悪い人」に犠牲になってもらう、という考えになってしまう気がします。
例えそれが殺人であっても、「誰がいちばん生きる価値がないか」と決めつける残酷な行為であったとしても。
「方舟」に閉じ込められた人たちは、ラストまでまだ理性を保った人間でいられたから、マシな方なんじゃないでしょうか。
これで誰か1人でも、迫りくる水か、閉塞的な地下か、若しくは隣の人間が殺人犯かもしれないという恐怖に耐えられなくなってパニックになっていたら…。
しかも、第2、第3の殺人が起き、ひとり、またひとりと人数が減っていく中で…。
この本を読んだことで、今後絶対に廃墟になんか行かないようにしよう、と思いました。
そして、そんな極限的な状況下でも、理路整然と犯人当てが行われるのがまたこの本のすごいポイントですよね。
主人公・柊一の従兄弟である翔太郎が探偵役なのですが、終始落ち着いているのが逆に怖い。
普通、死体と出会ったら冷静に全員で見分する、なんてこと思いつきませんよね。
そんな怖いほど冷静な翔太郎の推理はそれ自体が、そうだったのか!確かに!そう考えるしかない!の連続でおもしろいです。
ただ、残りのページ数的にまだあるぞ…?という疑問が心の中に起こり…
いちばん最後に待ち受けてる衝撃は、絶対に想像以上です。
【読了後推奨】犯人の行動について
※ここからは、読み終わった方に向けて書くので、未読の方はご注意ください!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
いや〜、凄かったですね、、、麻衣。
怖すぎる。
いや、生き残るためにどんな手段も使うなんてことは当たり前だと思うので、全員を犠牲にしてひとり生き残ろうとしたことは別に良いんですが…。
地震が起きて土砂の状況を把握した瞬間、即座に監視カメラのスイッチを入れ替えた頭の回転速度が何よりも怖すぎる。
有栖川有栖さんは「監視カメラの映像を入れ替えた時点ではまだ脱出まで計画を立てていたわけではない」と解説に書いていますが、でも薄々は筋道を立ててたから監視カメラの映像を入れ替えていたんですよね?
極限の状況下において、みんなで知恵を出し合うのを最初から放棄し、デスゲームになるのを想定して正しい情報を独占するという発想。
単純に頭が良すぎる。
これができない私はやっぱり方舟の中で終わるんだろうな〜。
そして、柊一目線で終始突出した立場にいた翔太郎をもコケにするラスト。
殺人の過程は合っているけれど、動機の部分がまるで違っていると鼻で笑うような麻衣の言葉に、鳥肌が立ちました。
まさに、
ここまでコケにされた探偵は空前でしょう
(有栖川有栖「解説 再び方舟の中で」より)
ですね。
殺人事件の解決が全て布石でしか無かったという衝撃は、本当にこの作品ならではだと思います。
続編もちゃっかり確保済み!
本作『方舟』には、『十戒』という続編が存在するらしい…。
といいつつ、『方舟』は読む前から期待大だったので、既に『十戒』も確保しております笑
『方舟』の衝撃が薄れないうちに、早めに『十戒』にも取り掛かろうと思います!
次回もどうぞよろしくお願いいたします<(_ _)>


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