全く本を読んだことがない新卒が読書を始めてみるというこのブログ。
61回目は山口未桜さんの『百魔の檻』について書いていきます!
前回の『禁忌の子』の続編です!
ミステリー好きの知人に勧められた本part4。
読んで感想を書いていきます!
※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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山口未桜著『白魔の檻』を読んでみた
『第三十四回鮎川哲也賞』を受賞してデビューした山口未桜さん。
その受賞作である『禁忌の子』の続編『百魔の檻』では、1作目でも活躍した消化器内科医師・城崎が引き続き探偵をつとめ、北海道の僻地にある病院で発生した殺人事件を解決します!
前作に引き続き、医療×本格ミステリー。
しかも、前回のテーマもなかなかに重かったのですが、今回のテーマもなかなか答えのない重要な問いを投げかけてくれます。
この、医療×本格ミステリー×生命倫理というのが、山口未桜さんの唯一無二のおもしろさを作っているのかもしれません。
前回は地道な調査でジワジワと真相がわかっていく形式でしたが、今回はとにかく展開がスピーディ。
タイムリミット形式でもあるので、『方舟』など極限状態ミステリーとしての楽しさがありました!
あらすじ
↓今回もあらすじをまとめました!↓
地域医療実習で北海道の山奥にある更冠病院に向かう研修医・春田と、消化器内科医師・城崎は、濃霧に足をとられ、予定の到着時間を大幅に超えて到着した。本来であれば春田の知人である九条が迎えに来てくれるはずであったが、その姿が見つからない。総務課係長・弓川とともに九条を捜索していると、その死体が地下の温泉施設で発見される。しかも、死因は硫化水素中毒。事件なのか事故なのか分からないまま、濃霧のため警察の応援も来ないという状況で春田らは病院で1夜を明かす。しかし明け方、大きな地震に見舞われ……。温泉地帯で発生した有毒ガスが病院内に流れ込んでくる中、第二の殺人事件がおきる……。
大好きな(というとかなり不謹慎ですが……)極限状態ミステリー!!
濃霧が原因で救助隊と連絡が取れない中、病院内下の階から順に毒ガスが充満し始める。
下の階に突き落とせば「事故」として処理される可能性がかなり高いのに、そんな中で発見されるのは頭部だけの死体。
なぜ犯人は、”わざわざ”首を切り落とさなければならなかったのか?
さらに、春田の元バスケコーチ・九条が殺された事件との関わりは……。
解決するのは、美形ソシオパス医師・城崎。
キーワードは「背理法」です!
【ネタバレ注意】読んでみた感想
今回も前作に引けを取らないおもしろさでした!
個人的には1巻目のテーマが辛すぎたので(というか終わりがかなり人を選ぶ倫理観だったので)、精神の調子を優先させて2巻から読んでみる、というのもおすすめかもしれません。
美形ソシオパス医師(わたしが勝手につけたあだ名)である城崎のキャラクターがより前面に出ていて、探偵役を好きになれるか否かを結構重要視するタイプにはとても嬉しい続編。
さらに、極限状態ミステリーですからね!
今回は、『方舟』や『未館成の殺人』のときと違い、「そんなところ行くなよ」系でないのも良い。
不可抗力で毒ガスが迫る病院内に閉じ込められた医師たちが、患者たちを守りながら殺人事件にも立ち向かっていく。
医者たちの極限状態内での動きや、看護師たちの患者に対する向き合い方に胸を打たれました。
それにしても、ガス噴出災害って恐ろしいですね……。
過去にニオス湖で実際にあった事件らしく、空気より重い毒ガスが窪地に溜まり、そこから流れていかない。
毒ガスにおかされた患者の緊急治療にあたるシーンの緊迫感は、まさに医療ミステリーならではです。
そして、1階2階と毒ガスが迫ってくる中でも淡々と事件を推理する城崎の論理的な思考の鮮やかさ!
前作『禁忌の子』と同様に、鍵となるのは「背理法」。
あることが真であると直接証明できないのであれば、それ以外の全ての可能性を否定することで証明する。
冷淡な論理性と、医学的な知見を兼ね備えた城崎先生ならではの解決法です!
命を選別しない、という選択
作中、阪神・淡路大震災や3.11、コロナ禍における医療崩壊など、実際にあった災害について触れられています。
特に語られるのが、命の選別について。
介護施設で老人たちの避難を手伝おうとしたために3.11で命を落とした友人を持つ整形外科医・仁科は、2階にガスが充満してきて3階に退避しようとなったとき、助けられる範囲の人間だけを助けようと提案します。
助けていたら自分たちの命が危ないし、もう完全に寝たきりの老人たちなのだから、と。
それでも、救急・総合内科診療部部長の一声により、全員を助けることでみんなの心は一致します。
な。全員助けよう。俺たちに選ぶ権利はないんだ。
助かる見込みがなかったら見捨ててもいいのか。
家族がいないから見捨ててもいいのか。
もう自分でご飯を食べることも出来ないから見捨ててもいいのか……。
どこで助ける人・見捨てる人のラインを引くのか、人間である私たちにできることではないんですよね。
ただあえてネタバレをすると、この「誰も見捨てない」という選択が本書の悲劇の中核になっていくんです。
誰も見捨てたくないから。どこに住んでいても、どんな人でも同じ医療を提供したいから。
作中では「頑張れば頑張るほど報われないシステム」と表現されている”ある問題”は、真犯人の動機となって私たちに考えろと突きつけてきます。
『禁忌の子』もそうでしたが、『百魔の檻』も、読んでみてはじめてわかる真のタイトルの意味が本当に重い。
読み終わってからがはじまり、というのがこのシリーズのほんとうに凄いところだと感じました。
続編が待ち遠しい!
まだ2作しか刊行されていないことが惜しくてたまらないほどおもしろい城崎響介のミステリーシリーズ。
続編が出てくれると信じていますが、いつになるのか、、、
待ち切れません!!
とりあえず、他のミステリーを読んで少しでも造詣を深めておきます。
次回もどうぞ、よろしくお願いいたします!

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