【38冊目】『完全な真空』|まったく読書したことない新社会人の読書日記

読書記録

全く本を読んだことがない新卒が読書を始めてみるというこのブログ。

38回目はスタニスワフ・レムの『完全な真空について書いていきます!

前回の『やりなおし世界文学』に引き続き、書評集です。

ただ、今回の書評はちょっとテイストが違うみたい……?

読んで感想を書いていきます!

※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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スタニスワフ・レム『完全な真空』を読んでみた

ポーランド出身のSF界の巨匠スタニスワフ・レム

『エデン』や『ソラリス』、『砂漠の惑星』等、地球外知性との遭遇を描いたSF作品が有名なようです。

そんなレムが書いた、“存在しない本”に対する書評集が、本書『完全な真空』。

『ロビンソン物語』や『白痴』など、16作品の存在しない本が登場し、レムが批評しています。

SF的なテーマが多く、色々な短編小説を読んでいるような感触の本です!

内容紹介

本書に収録されているのは、以下の16の書評です。

・完全な真空
・ロビンソン物語
・ギガメシュ
・性爆発
・親衛隊少将ルイ十六世
・とどのつまりは何も無し
・逆黙示録
・白痴
・あなたにも本が作れます
・イサカのオデュッセウス
・てめぇ
・ビーイング株式会社
・誤謬としての文化
・生の不可能性について
・我は僕ならずや
・新しい宇宙創造説

この他にも、「完全な真空 日本語版」と「レムの架空図書館――三十年後の解説(沼野充義)」が収録されています!

最初と最後に収録されている「完全な真空」はもちろん本書についての話なので、厳密には15作品の存在しない本と、存在する1作品について書かれた本、ということになります。

どの章もおもしろいテーマで、ときどき書評であることを忘れて短編小説のように読んでしまいました!

小説が好きな方が読んでも楽しめる内容だと思います!

【ネタバレ注意】読んでみた感想

慣れるまではすごく難しい本だな、と感じていましたが、2、3作品読んでいると、「この人、すごく真面目に変なこと話してるぞ?」となってきます。

学術論文のようなテンション感でアホなことを話しているんだ、とわかってからは気楽に読めました!

特にお気に入りなのが、「あなたにも本が作れます」。

「あなたにも本が作れます」は、名作と名高い文学作品をツギハギして好きなように作りかえることができます!という商品が発売された、という話。

書評というより、その商品をめぐって起こった(起きなかった)騒動の顛末が書かれています。

その商品が発売された当初、名作が汚される!と憤り、様々な批判が文士たちを中心に巻き起こった一方、民衆の反応は非常に冷静。

要するに、全く売れなかった

レムは「あなたにも本が作れます」をめぐって起こった一連の動きに対し、的確な結論を下しています。

レムいわく、その商品が売れなかったのは決して「名作を好きなように書き換えるなんて冒涜だ」という高貴な思いからでなく、民衆にとって名作は別に重要なものでも面白いものでもなかったからだ、ということらしい。

すごく滑稽というか、皮肉な結末ですよね。

この商品を売り出したのは出版社なのですが、結局出版社も文士も名作文学の価値を高く見積もりすぎていたという結論は、結構リアルに色んな業界でありそう。

自分が思ってるほどみんなそれに興味ないよ!って突きつける感じが、性格悪くて好きです笑笑

リアルに怖かった「ビーイング株式会社」

「ビーイング株式会社」は、1番リアルな作品でした。

すごく有り得そうというか、今の所謂”陰謀論”と呼ばれている内容そのままです。

アメリカの3つの巨大企業によって人間の行動は全て仕組まれている、という話なのですが、これが 50年以上前に書かれているのがすごい

人間は成人すると「ビーイング株式会社」からカタログが配布され、支払った額に応じて自分の幸せを実現出来る社会。

誰もがそうとは知らずに幸福の実現のためAIが仕組んだ筋道に従って生きています。

そんな中、ある大富豪が「機械の意図が介在しない人生を歩みたい」という依頼を「ビーイング株式会社」に投げかける。

依頼を受けた社員が調査を進めた結果、最早アメリカでは機械の計画なしにはなにかを食べることも、なにかに感情を動かされることも無くなっていた…。

よ、読みたい!どうなるの!?

これが架空の本だなんて残念

あまりにも陰謀論じみてますが、実際そんな社会になったら、全く気が付かないだろうし、自分の意思で生きるのとどっちが幸せなんだろう…なんて考えちゃいますよね。

意外と多い架空の書評

1番最初の「完全な真空」で書かれている通り、

実在しない書物の書評を書くということは、レム氏の発明ではありません。

「完全な真空 日本語版」や訳者さんの解説には様々な「架空の書物に関して書かれた本」が列挙されていて、その部分を読んでいるだけですごくワクワクしました!

本好きが行き過ぎて架空の書物を生み出してはほくそ笑む人々

そんな人たちを想像すると、こっちまでクスッとなってきますよね!

(そして、レムは本書以外にも架空の本に関する本があるようで、「レムのアポクリファ」なんてカッコよすぎる名前が付いているそうです。)

『やりなおし世界文学』、『完全な真空』と読んできて、書評集が気になってきました

架空の本についてのものだけでなく、色々な書評を読んでみたいです。

次回もどうぞよろしくお願いいたします!

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