全く本を読んだことがない新卒が読書を始めてみるというこのブログ。
28回目はカルステン・ヘン著『本と歩く人』について書いていきます!
表紙が上品でとってもかわいい!
本棚にあったら素敵だろうなぁ〜と思い、購入しました。
感想を書いていきます!
※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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『本と歩く人』を読んでみた
ドイツで娯楽小説・児童文学作家として人気のカルステン・ヘン。
本作『本と歩く人』が初の邦訳作品なんですね!
翻訳は川東雅樹さん。
タイトルの”本と歩く人”の原題はカルステンさんの造語で、邦題はその意味をそのまま採用したそうです。
しっかりとしたハードカバーで、上品ではありつつも、上流階級の奥様のような近寄り難さも醸し出している本書。
しかし、読んでみると意外にも親しみやすく、児童文学のような優しさと読みやすさがありました!
想像以上にスルスル読み進められますが、1文1文が素敵すぎて、あえてゆっくりと読みたくなる作品です。
あらすじ
⇓今回もあらすじを書きました!⇓
カールは何十年もの間、同じ町の同じ道を通り、同じ顧客におすすめの本を届けてきた。ある日、いつもの通り配達に向かおうとすると、「シャシャ」と名乗る少女が配達に付き添いたいと自分を追いかけてくる。はじめは顧客との関係性をシャシャが壊してしまうのではないかと恐れ、同行を断ったカールだったが、いつしか突拍子もないシャシャの言動が顧客や自分の人生に良い影響をもたらしていることに気が付き…。
孤独な老人カールと、頭が良く活発な少女シャシャが一緒に歩いて本を届けに行く物語です。
シャシャがミュージカル『アニー』の主人公に似ていて、賢い女の子を軸に孤独だった人たちが段々と自分と世界を開いて繋がっていくというストーリーラインも似ているため、『アニー』がお好きな方は絶対好きだと思います!
【ネタバレ注意】読んでみた感想
この世に本があるってことが、とても嬉しいの
冒頭に登場する、カールおじいさんの顧客であるウルゼル・シェーファーさんの言葉です。
本当に序盤の、これっきりしか出てこないキャラクターの言葉なのですが、この言葉が作品全体を貫いているのだと感じました。
カールおじさんが本を配達してくれるのを待つ人々は、どの人もみんな形の違いさえあれ、本が存在していることを喜んでいる。
しかも、それぞれかなり独自のやり方で喜んでいるのがおもしろいんですよね!
個性的な人ばかりで、ただ「読む」という行為だけが本を愛することではないんだと教えられました。
例えば、文字が読めない人も、読めないなりに本を愛している。
冒頭からそんな人たちが素敵な世界に誘ってくれて、本好きなら一瞬で虜になってしまいます♡
いい本とは第一に、瞳が閉じるまでずっとベッドで読みふけってしまうほど面白いもの。第二に少なくとも三か所、できれば四か所は泣かせどころがあるもの。第三に三百ページ以上、三百八十ページ以下であること。そして最後に表紙が緑色でないことだった。
これも同じくウルゼルさんの「いい本の条件」ですが、癖が強すぎておもしろいですよね笑笑
ページ数が結構厳しいし、表紙が緑色ではいけないという。
カールおじいさんは、そんな(めんどくさい)顧客たちの要望を全て把握し、それに沿った本を届けます。
しかし、カールおじいさんの同行人となったシャシャは、「それではいけない」と宣言するのです。
体に悪い食べ物を選んでしまう人がいるように、体に悪い本を選んでしまう人がいるのだ、と。
そして、カールおじいさんには内緒で、お小遣いで買った本を顧客たちにプレゼントします。
それまで触れたことのない世界をシャシャに届けられた顧客たちは、次第に世界との関わり方を変えていき…。
本は自由に選ぶものだ。だからすばらしいんだ。人生では何もかもあらかじめ決められているが、少なくとも読む本は自分で決めることができる
カールおじいさんのシャシャと出会う前の考え方(↑のセリフ)も素敵ですが、誰かが全く予期しないタイミングで見せてくれる新しい世界も素敵ですよね!
優しい物語だけど少し悲しい
読んでいる間は全く気が付かなかったのですが、カールおじいさん自身が本のメタファーになっているんですね。
解説を読んでなるほどと思いました。
顧客からの信頼が厚く、多くの人から好かれているカールおじいさんですが、時代の波には逆らえず、費用対効果が得られないと解雇を通告されてしまいます。
確かに、1冊1冊手渡しでまわるのは収益的に見たらあまり良い方法ではないのでしょう。
それこそ、本屋のオーナーであるザビーネが推進している、データを元に売れる本を置く書店の方が何倍も稼げるはず…。
昔は「良い」とされていた方法がだんだんと割に合わないものになっていきますが、カールおじいさんはそのことに気が付けません。
シャシャの父親に「娘を連れ回している」と抗議されたことをきっかけに、遂には完全に解雇されて、その現実を受け止めきれないカールおじいさん。
自宅にある大切な本を全て売ってまで、たったひとり自費で本の配達を続けます。
まさに、冒頭のウルゼルさんのセリフ、
いろんなことが変わってしまうじゃない、それもあっという間に。
の通りですよね。
そして、カールおじいさんが住む町自体も「本」のオマージュとなっているそう。
カールおじいさんの顧客たちは全員家の中に閉じこもり、カールおじいさんが本を配達したときだけ扉を少し開けます。
私は本だけが外の世界と繋げてくれるという状況は素敵なことだと思ってしまったのですが、やはりそれだけでは人は生きられない。
この本のラストのように、変わってしまったものは二度と戻らないけれど、それでも変わらず生きていくことも不可能なんだ、と思いました。
ハッピーエンドではあるものの、完全に優しいだけではない、少し寂しさのある最後です。
ハードカバー派の私が嬉しかった言葉
カールおじいさんの師匠である、グスタフさんはハードカバーの本を好みます。
それは、以下の理由から。
硬い表紙の本だけが何ものも手出しさせず、価値のある言葉を傷から守ってくれるような気がしたのだ。
確かに、本書のような1文1文が素敵な物語は、しっかりとしたハードカバーで本棚に置いておきたいです。
あまりハードカバー派の方をお見かけすることはないのですが、やっぱり素敵な装丁のハードカバーが好きです!
なんか、本を読んでる!という感じがして、テンションがあがります笑笑
世界観が素敵なアニメやゲームでも、ハードカバーが登場するものが多い気がしますしね。
これからも素敵な装丁のハードカバーを探してみたいと思います!
次回もどうぞよろしくお願いいたします。


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