【23冊目】『この本を盗む者は』|まったく読書したことない新社会人の読書日記

読書記録

「話が上手くなりたい!」「キラキラ営業ウーマンになりたい!」

そんな悩みを抱える新卒が読書を始めてみるというこのブログ、23回目は深緑野分さんの『この本を盗む者はについて書いていきます!

なんでも映画化を控えているということで、最近TLでよくお見かけする本です。

“この本を盗む者は”……果たしてどうなってしまうのでしょうか!

感想を書いていきます。

※内容に触れていますので、未読の方はご注意ください。
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『この本を盗む者は』を読んでみた

2021年本屋大賞にノミネートされた本作。

2025年12月26日にアニメ映画も公開予定です。

ページをめくると、目に飛び込んでくるのは独特の目次。

「魔術的現実主義の旗に追われる」とか、「固ゆで玉子に閉じ込められる」とか、全く内容が想像できない章タイトルが並びます。

次のページには登場人物紹介があり、どうやら本の町・読長町が舞台の物語であることが判明。

期待しつつ、第1話「魔術的現実主義の旗に追われる」を読み始めます……!

あらすじ

⇓今回もあらすじを書いていきます!⇓

本の町・読長町にの中心には、本の蒐集家で有名な町の名士・御倉嘉市が建てた巨大な書庫”御倉館”がある。嘉市が存命の時代は町のレジャースポットとなっていた御倉館だが、娘であるたまきが本の盗難をきっかけにその門扉を閉ざしてしまった。以降、御倉の名を継ぐ一族だけが御倉館を管理し、利用してきたが、たまきの孫である女子高生・深冬は、本を嫌い、御倉の名を嫌っていた。しかし、御倉館とそこに住む怠惰な叔母・ひるねを管理している父・あゆむが入院したことをきっかけに、深冬は御倉館を管理しなければならなくなった。ひるねのために夕飯を購入し、御蔵館へ足を踏み入れたところ、眠ったままの叔母の手に握られた奇妙な御札を見つける。「この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる」と書かれた御札を読み上げると、いつの間にか奇妙な少女が部屋の入口付近に立っている。そして、少女に連れられ差し出された本を読んでいるうちに、いつの間にか外の世界が本の世界そっくりに変わっていて……。

御倉館に所蔵された全ての本に”ブック・カース(本の呪い)“がかけられ、誰かが本を盗むと、本を取り返すまで読長町全体が物語に侵食されていく。

そして、御倉の末裔である主人公・深冬は、本を取り返し、町を元の姿に戻すため、本泥棒を捕まえようと相棒の犬人間・真白と奔走する……。

現実が本の世界そのままになって、その中を冒険するという設定だけだと、すごく楽しそう!!と思うのですが、いかんせん深冬は本嫌い。

そして、閉じ込められる物語の中で毎回危険な目にあい、命からがら本を取り返します。

理不尽なことも多く(そもそも何も知らないままブック・カースに巻き込まれている時点でかなり理不尽ですが……)、命の危険もある中で、必死に本を取り返そうとする深冬ちゃん。

頭が良いし、勇気があってすごく応援したくなります……!!

【ネタバレ注意】読んでみた感想

最初の読長町や御倉館の説明、閉じ込められる物語世界の設定に入り込むまで少し時間がかかり、途中難しいなぁ〜💦
となっていましたが、1回入り込めたら後は盗難が解決するまでドキドキの連続でした!

そして、読む前なにこれ!と思っていた章タイトルは、閉じ込められる物語のジャンルというか、内容を表しているんですね!
(「固ゆで玉子=ハードボイルド小説」というような。)

解説にもありましたが、『この本を盗む者は』の1番の特徴は、本に関する物語なのに、主人公の深冬ちゃんが本嫌いであること。

確かに、自らの意思でハッキリと「本が嫌い!読みたくない!」と言いのける主人公は初かもしれない笑笑

しかし、実は深冬ちゃんが本嫌いなのも理由があって……。
全体的に辛すぎるよ深冬ちゃん泣泣

なぜ深冬ちゃんが本嫌いになったのか、そしてなぜ叔母・ひるねはずっと眠っているかなど、先が気になるミステリー要素があって、そこが楽しかったです!

深冬ちゃんがかなり可哀想な境遇なのですが、それでも現状からしっかり解決策を推理できる賢さを持っています。

物語世界に囚われた人達が徐々に狐に変化してしまうのであれば、最初から狐だった人物が泥棒なのではないか……!?とか、私だったら絶対分からない笑

そして、幼少期のトラウマや”御倉”の名前と向き合い、成長していく深冬ちゃんの姿が良かったです!

本を大切にするということ

本を愛し、本に愛された御倉嘉市。
そして、本を愛するあまり他人への害を一切鑑みなくなった祖母・たまき。

自分の子供や孫ですら、自分の蔵書を守るために利用するたまきのやり方は、確かに間違えてしまったものなのかもしれませんが、本を愛する心に偽りはないんですよね。

「本は大切なもの」という感覚は、本を読まない人にもある程度共通認識としてある感覚
これは、岡崎隼人さんの『書店怪談』でも語られていた言葉です。

本を読まない人ですらそうなんですから、本を読む人にとってどれだけ本が大切か、ということですよね。

実際、深冬ちゃんが2回目に閉じ込められた「禁書法」なるものが成立した世界で、捕まるリスクに怯えながら本を作り続ける女性は以下のようなことを語っています。

本は束ねられた知識なの。口からただ流れていく”話し手”のニュースとは知識の量が桁外れ、そしてそれは文字を追うことで得られる。本はこの世に存在しなければならないの。禁じるのは人間から知識を奪いたいからだわ

本が人間にとって、どれだけ大切なのか。
すごく心に響きました。

そんな想いが高じたあげく、たまきが引き起こしたのは町全体を巻き込む大惨事。

ただ、それは深冬ちゃんの目から見ると、防げた悲劇でもあります。

誰かが一言告げていれば、誰かが誰かを信頼していれば、こんなことにはならなかったのかもしれないのに。

万引き犯に対抗しようとした御倉町の書店員さんたちも、たまきも、誰かを信頼することが要だったのかもしれませんね。

難しいことですが……。

書庫にちょっとあこがれ

書庫っていいですよね……。

地下2階から地上2階まで、さらに分館もあるとか、完全にゲームの世界です。

なんかファンタジー世界に行けそうで、あこがれます笑笑

まだ本棚も全然埋まってない身ですが💦

少しずつ蔵書を増やして、いつか自分だけの書庫を持ちたいです!

次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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